事故による評価損の賠償請求

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評価損とは

 交通事故によって損傷を受けた車について、修理がなされても、外観や機能に欠陥が生じたり、または事故歴・修理歴があることにより、中古車市場における価格が事故前に比べて下落する場合があります。このような、事故当時の車両価格と修理後の車両価格との差額(価値の減少分)を評価損といいます。

裁判例の傾向

 しかし、事故があれば、どのような場合でも評価損が認められるとは限りません。
 評価損が認められるか否かは、初度登録からの期間、走行距離、損傷の部位、車種等の要素から個別具体的に判断されることになります。
 裁判においては、評価損について、肯定否定さまざまな例があるところですが、従前の裁判例の傾向からすると、国産人気車種で初年度登録から5年(走行距離で6万km程度)未満、国産車では3年(走行距離で4万km程度)未満の場合、評価損が認められやすい傾向にあるとされています。

評価損の金額の算定

 評価損が認められる場合、評価損の金額の算定にあたっては、裁判実務上、修理費の一定割合とする方法がとられることが多く、具体的には、事故車両の射手、走行距離、初度登録からの期間、損傷の部位・程度、修理の程度等の事情を総合考慮して判断されることになります。

評価損を請求できるのは誰か

 評価損の損害賠償請求権を有するのは、あくまで当該車両の所有者です。
 所有権留保車両やリース車両等の場合、評価損に係る損害賠償請求権を有するのは、所有権留保者やリース会社等の車両所有者であり、実際に車両を利用していた車両使用者ではありませんので、注意が必要です。
 車両使用者(車両所有者でない者)が事故の加害者に対し評価損を請求するためには、評価損に係る損害賠償請求権について、車両所有者から債権譲渡を受ける必要があります。

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